P-I-A-13
新生児期のaorta intima-media thicknessについて
浜松医科大学小児科学教室
岩島 覚,石川貴充,大関武彦

【はじめに】エコー検査にて血管内膜や血管の硬度,弾性を評価することが,動脈硬化の程度や虚血性心疾患の予防に関与している可能性が報告されている.今回われわれは新生児期における血管特性を評価したので報告する.【対象】浜松医科大学NICUに入院した新生児20例.日齢3.3 ± 2.4日.在胎週数35.3 ± 4.2週,出生時体重2,153 ± 538g,体表面積0.16 ± 0.03m2,body mass index 13.5 ± 1.4kg/m2.先天性心疾患例,カテコラミン投与例,子宮内発育遅延例等は除外した.【方法】エコー機器は東芝Nemio SSA-550.プローブは12Mzリニア式プローブを用いaorta長軸面を描出,Valsalvaから0.5~1.5cm頭側を計測部位としintima-media thickness(IMT)とaorta内腔(IMTは含まず)を測定した.血圧はエコー計測時に上肢もしくは下肢圧を用いbeta index = In (Ps/Pd)/(Ds-Dd/Dd),Ps = systolic pressure,Pd = diastolic pressure,Ds = systolic diameter,Dd = diastolic dimameterおよびdistensibility index = 2 ×(Ds-Dd)/Dd ×(Ps-Pd)を計算した.統計学的処理はStat-View5.0を用いp < 0.05を有意差ありとした.【結果】IMTは拡張期末期の値を用いた.Ao内腔のIMTは胸壁エコーよりdistal面で0.615 ± 0.085mmであった.IMTは体表面積と正相関(r = 0.473,p = 0.0342)したが,BMI,出生時体重,血圧との相関を認めなかった.beta indexとIMTは正相関(r = 0.463,p = 0.0388)したがdistensibility indexとIMTには相関関係を認めなかった.【考察】新生児領域においてはcarotidのIMT測定は困難であるが,aortaからIMTの測定は容易であった.最近,胎内環境が将来的な血圧に影響を及ぼすとする報告が散見され血管内膜の異常が指摘されている.新生児時期のIMTの測定が今後の病態解明に有用である可能性が示唆された.

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