P-I-A-14
年少児discrete ASの手術適応に対しての小径マルチプレーントランスデューサによる経食道エコーによる形態学的評価─Philips社製Minimultiを使用して─
市立室蘭総合病院小児科1),北海道小児総合保健センター2),札幌医科大学小児科3)
畠山欣也1),横澤正人2),富田 英3)

【背景】discrete ASの狭窄は加齢に伴い進行し,その手術適応は圧較差と大動脈弁の逆流の程度により決定される.しかし,その術式の決定は,弁と膜様突出との位置関係と形態評価により左右され苦慮することが多い.【目的】年少児discrete ASの症例に対して,小径multiplane経食道トランスデューサを使用し詳細な評価をすること.【症例】5 歳の男児,当科で気管支喘息とdiscrete ASで外来経過観察していた.運動時の顔面蒼白と息切れを主訴としていた.心臓超音波検査上圧較差は64mmHg,大動脈閉鎖不全を軽度認めた.気管支喘息のため詳細なエコーの描出が困難で,評価のため心臓カテーテル検査と経食道エコー検査が施行される方針となった.【方法】検査は全身麻酔下で施行された.経食道エコー検査に使用したシステムは,Philips社製SONOS7500とMinimultiを使用した.【結果】心臓カテーテル検査上,左室と大動脈との引き抜き圧較差は,38mmHgで大動脈弁逆流を軽度認めた.経食道エコーでは,大動脈弁は三尖認め,右冠尖と膜様突出は一部癒着し,可動性が非常に乏しい所見が鮮明に描出された.合併症は認めなかった.手術は,膜様突出の除去だけでは不可能で,何らかの弁置換が必要と判断され待機の方針となった.【考察】Minimultiはシャフト径が7.4mm,対応周波数は 4~7MHz,180°方向まで振れるmultiplane経食道トランスデューサである.これは,従来のものと比較して非常に細く,年少児に対する経食道エコー検査の適応を広げると考えられた.

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