P-I-B-2
In vitroin vivoにおけるMICの解離を認め,mycotic aneurysmの破裂を来した感染性心内膜炎の 1 例
済生会宇都宮病院小児科1),慶應義塾大学小児科学教室2)
井原正博1,2),高橋 努1)

【はじめに】in vitroin vivoにおけるMICに解離を認め,mycotic aneurysmの破裂を来した完全型心内膜床欠損症術後の感染性心内膜炎の 1 例を報告する.【症例】13歳女児.生後ダウン症候群,完全型心内膜床欠損症と診断された.1 歳時修復手術を施行され,房室弁逆流の残存を認め経過観察されていた.【経過】2003年 6 月発熱,咳を認め外来受診し,食欲低下とCRP高値を認めたため入院となった.各種培養施行後piperacillin(PIPC)を開始した.入院時の血液培養にてStreptococcus intermediusが検出され,断層心エコー図にて感染性心内膜炎が疑われた.翌日には解熱,CRPも低下し,PIPCのMICは0.25γg/mlであったものの,殺菌能試験にて血清希釈濃度 0 倍で細菌の発育が認められたため,imipenem(MIC 0.06γg/ml以下)に変更した.その後もCRPの上昇および殺菌能試験にて 0 倍で発育を認めたため,cefotaxime(MIC 0.06γg/ml以下)に変更したところ,CRPは低下したが,殺菌能試験は以前の 4 倍で発育を認めた.CRPは低下傾向であったためcefotaximeを継続したが,入院 1 カ月後突然意識障害,痙攣を認め脳CT上脳内出血を認めた.脳アンジオ施行したところ右前大脳動脈に動脈瘤を認めたため,開頭にてトラッピング術および血腫除去術を行った.病理組織上mycotic aneurysmと考えられた.【考案】感染性心内膜炎においては,MICにて感受性が良好な抗生剤を使用していても,CRPの改善が思わしくない,あるいは殺菌能試験で 8 倍以下でも発育が抑制されない場合などは膿瘍,mycotic aneurysmなどを考慮し検索をする必要がある.

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