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高校 1 年時の心電図所見と中学時の運動歴との関係
岐阜大学大学院医学研究科スポーツ医科学分野1),岐阜県医師会学校心臓検診委員会2)
加藤義弘1,2),矢嶋茂裕2),河合直樹2),久野保夫2),田内宣生2),松岡敏男1)

【はじめに】激しい運動により“スポーツ心臓”と呼ばれる生理的変化が生じ,心電図所見としては洞性徐脈や 1 度,2 度房室ブロックなどの所見が運動していないものより高い比率でみられることが知られている.しかし,中学時の運動習慣と心電図所見に関する報告は少ない.本研究は,高校 1 年での学校心電図検診所見と中学での運動習慣との関係を明らかにすることを目的とした.【方法】岐阜県下の高校(23校)の 1 年生に対し,学校心電図検診時に質問紙による中学時の運動習慣に関するアンケート調査を行った.心電図所見とアンケートの回答の得られた5,742名(男子2,626名,女子3,116名)を検討の対象とした.中学時に運動クラブに選手として所属し,週に 6 日以上の活動を行い,“きつい”以上の運動強度で行い,友人より多い運動量であったの項目すべてを満たしたものを運動群それ以外を非運動群とした.心電図所見はフクダ電子社の学校心電図検診用心電図自動解析プログラム(P1-14)により行い,診断はその所見コードに従った.【結果】アンケートの結果運動群は1,006名,非運動群は4,736名であった.各測定項目では,運動群では有意に,RR間隔とQT時間が長く,V6 誘導でのR波電位が高い結果となった.PR時間,QTc時間,電気軸には両群間で有意差は認められなかった.心電図所見コードでは,不完全右脚ブロックと上室性期外収縮の所見が運動群で有意に高い比率であった.1 度,2 度房室ブロックの所見は極わずかであり有意差はみられなかった.【結語】中学時代運動群のおもな心電図上の変化は心拍数の低下であった.心疾患を伴わない不完全右脚ブロックの所見は,運動習慣と関係のある可能性が示唆された.

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