P-I-B-11
栃木県の学校心臓検診で不完全右脚ブロックを指摘された児童の病型
済生会宇都宮病院小児科1),済生会宇都宮病院心臓血管外科2)
高橋 努1),井原正博1),高橋隆一2),木曽一誠2)

【背景】栃木県では小,中,高等学校の各 1 年生および,小学校 4 年生に心臓検診が実施され,事後調査成績が発表されている.【目的】不完全右脚ブロック(以下IRBBB)を指摘され,当院小児科を受診した小学校 1,4 年生,中学校 1 年生の最終診断,特に心房中隔欠損症(以下ASD)と診断され,手術が施行された児童の割合について後方視的に検討した.【対象】学校心臓検診の二次検診でIRBBBを指摘され,2003~2004年度に当院小児科を受診した児童.【方法】全員に胸部X線,心電図,心エコーを施行し,最終診断をつけた.【結果】277名に胸部X線,心電図,心エコーを施行した.心電図にて,IRBBBを認めた者は83名(30.0%)だった.19名(6.9%)がASDと診断され,うち 6 名にIRBBBを認めた.3 名(1.1%)に心臓カテーテル検査が施行され,うち 1 名(0.4%)に直接閉鎖術(欠損孔径25mm)が施行された.ASDを認めた者のうち,1 名に心室性期外収縮,1 名に完全右脚ブロック,1 名にWPW症候群の合併が認められた.ASDを認めなかった258名のうち77名にIRBBBを認めたが,残りの181名のうち 5 名(1.8%)にIRBBB以外の心電図異常(完全右脚ブロック,右室肥大,心室性期外収縮,上室性期外収縮,房室ブロック),14名(5.1%)に心エコー上の所見(大動脈弁逆流,肺動脈弁逆流,三尖弁逆流,僧帽弁逆流,肺動脈弁狭窄)を認めた.【考察】19名(6.9%)がASDと診断され,うち 1 名(0.4%)が直接閉鎖術を受けた.学校心臓検診でIRBBBをスクリーニングし,精査することは有用と思われる.

閉じる