P-I-B-13
当院における小児期発症の難治性不整脈に対するカテーテルアブレーションの経験
北里大学医学部小児科1),北里大学医学部循環器内科2)
大和田夏子1),庭野慎一2),中畑弥生1),広田浜夫1),堀口泰典1),木村純人1),石井正浩1)

成人領域では難治性不整脈に対して積極的にカテーテルアブレーションを行い良好な成績が報告されているが,小児科領域での報告は少なく,特に長期の予後については不明である.【目的】当科にて1998年10月~2004年8月にカテーテルアブレーションを行った15症例について,患者背景,治療成績および予後について検討した.【対象】カテーテルアブレーションを15症例,男児10例,女児 5 例に施行した.不整脈の初発年齢は 1 カ月から14歳(8.0 ± 4.2歳)であった.動悸など自覚症状があり病院受診で診断された症例が10例,学校検診の心電図異常で診断された症例が 5 例であった.不整脈診断はWPW症候群と診断された症例が 7 例,潜在性WPW症候群による房室回帰性頻拍(AVRT)が 4 例,房室結節リエントリ性頻拍(AVNRT)が 2 例およびWPW症候群とAVNRTの合併が 1 例,心室頻拍が 1 例であった.全例に薬物治療が行われており,その内訳はワソラン 5 例,インデラル 1 例,タンボコール 2 例,リスモダン 5 例,ジゴシン 3 例,アミサリン 2 例,サンリズム 1 例であった.内科的に 3 カ月~14年 7 カ月(5.5 ± 4.5年)経過観察したが難治性でありカテーテルアブレーションの適応と判断した.カテーテルアブレーション施行年齢は13.1~18.3歳(15.3 ± 1.7歳)であった.【結果】15症例中14症例で初回のカテーテルアブレーションで不整脈治療に成功した(93%).WPW症候群の 1 例が初回時にアブレーションが成功せず,4 年後に行ったカテーテルアブレーションで治療できた.WPW症候群の1例ではAVNRTの合併のため 1 年後に追加治療が必要であった.この 2 例を含む全例で術後経過は良好で 6 カ月~6 年 6 カ月(2.1 ± 1.9年)にわたる観察期間において頻拍発作は認めていない.【結語】小児期の難治性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療は有効であり,その中期予後も良好である.今後,さらなる長期の経過観察が必要である.

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