P-I-B-14
小児における房室結節回帰性頻拍と心房リモデリングとの関連
名古屋大学大学院小児科学/成長発達医学1),名古屋大学大学院病態内科学講座器官制御内科学2)
大橋直樹1),木下知子1),因田恭也2),高田康信2),武藤真広2),原田修治2),今井 元2),三浦 学2)

【背景】房室結節回帰性頻拍(AVNRT)は,小児では比較的珍しく,その機序についても十分解明されていない.今回AVNRTと房室回帰性頻拍(AVRT)を比較し,AVNRTにおける心房特性や特質を明確にすることを試みた.【方法】当院で1998年 7 月以降に高周波カテーテルアブレーション(RFCA)を施行した16歳未満の上室性頻拍(PSVT)19例について検討した.SVTの機序で,AVNRT(N群)とAVRT(W群)に分類し,患者特性,臨床経過,RFCA前の心電図所見・心エコー所見・ホルター心電図所見などについて,2 群間で比較した.【結果】N群 5 例,W群14例であった.N群 vs W群で,治療時年齢は12.78 ± 2.45 vs 12.80 ± 2.28歳,体表面積は1.42 ± 0.23 vs 1.41 ± 0.29cm2と 2 群間で有意差はなく,初発発作時年齢は,N群11.3 ± 3.9歳でW群の7.8 ± 4.6歳に比べて高かった.初発発作から治療までの期間は,N群平均1.52年,W群平均4.97年であった.薬物療法は,N群で 5 例中 3 例,W群で14例中 8 例の半数以上で施行されていた.RFCA選択の理由は,両群共,薬物コントロール不良が最も多かったが,最近は当初より積極的な治療を希望し,施行されている.微小心電図で,P durationはN群112.0 ± 7.5,W群86.6 ± 7.1msecと,N群で有意(p < 0.05)に延長していた.心エコー上,左房径は,N群でW群に比べて大きかった(28.6 ± 3.9 vs 25.0 ± 2.0mm).ホルター心電図では,N群の 1 例に著明な洞性徐脈を認めたが,2 群間で平均脈拍数は変わらなかった.【結語】AVNRTでは,心房拡張や伝導障害が存在した.このことは,AVNRTの機序として,加齢や心房筋の障害による心房のリモデリングの存在が示唆されると思われた.

閉じる