P-I-B-15
先天性QT延長症候群のトレッドミル運動負荷・β受容体刺激薬負荷に対するQTc・Tpecの反応
島根大学医学部小児科
林 丈二,安田謙二,石崎 茜

【目的】先天性QT延長症候群の患者に対して,トレッドミル運動負荷・β受容体刺激薬負荷による交感神経刺激を行い,QTc(QT/RR1/2)・Tpec{(QT-QaT)/RR1/2}の反応性を評価すること.【対象】先天性QT延長症候群の 8 例(男 4 例・女 4 例).年齢は 6 歳が 4 例,10歳が 2 例,13歳が 2 例.6 例に運動時意識消失発作および家族歴を認めた.【方法】トレッドミル運動負荷をプロトコールped dashで行った.また,無投薬下およびプロプラノロール(Pr)投与下(0.1mg/kgを 5 分かけて静注)で,イソプロテレノール(Isp)を0.02γg/kg/minの持続点滴を 5 分間行った.(1)運動負荷後 1 分と(2)Isp負荷後 1 分(無投薬下およびPr投与下)の,安静時からのHR,QTc,Tpecの変化{ΔHR(/分),ΔQTc(10-3),ΔTpec(10-3)}をV5 誘導で検討した.【結果】運動負荷では,ΔHR = 37.0 ± 12.7,ΔQTc = 15.9 ± 34.3,ΔTpec = 43.1 ± 40.4で,Tpecは鋭敏に反応を示した.Isp単独負荷では,ΔHR = 14.1 ± 10.3,ΔQTc = 34.0 ± 27.9,ΔTpec = 29.5 ± 34.1であった.また,Pr投与下でのIsp負荷では,iHR = -6.1 ± 9.8,ΔQTc = -18.8 ± 31.7,ΔTpec = -7.5 ± 12.7であった.Isp負荷(無投薬下およびPr投与下)では,ともにQTcが鋭敏に反応を示した.また,TpecはQTcほど著明な変化はなかったが,HRの変化に対して,その変動は運動負荷と同様であった.【結論】先天性QT延長症候群患者において,QTcはβ受容体薬物負荷で鋭敏な反応を示したが,運動負荷ではばらつきが大きかった.Tpecは,運動負荷・β受容体刺激ともに同様の反応を示したことから,運動負荷におけるβ受容体刺激作用をよく表すものと考えられた.

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