P-I-B-16
小児期より長期の心電図変化を追えたBrugada症候群と洞機能不全を伴った 1 例
横浜市立大学医学部付属市民総合医療センター小児科1),横浜市立大学附属病院小児循環器科2),新村医院3)
志水 直1),岩本眞理2),赤池 徹2),西澤 崇2),瀧聞浄宏2),新村一郎3)

【はじめに】Burgada症候群は心電図上右脚ブロック様波形と右側胸部誘導(V1~3)でのST上昇を呈し,主として夜間に心室細動にて突然死する疾患である.発症は男性に多く,一部では家族歴やSCN5A遺伝子異常が認められる.小児例の報告は極めてまれである.私たちは洞機能不全症候群で小児期より経過観察し,20歳頃より心電図がBurgada型心電図を呈するようになった症例を経験したので報告する.【症例】25歳男性.【家族歴】母は徐脈であったが詳細不明で50歳時夜間に突然死.母方祖父60歳時旅行先で夜間突然死.【経過】13歳時マラソン中に意識消失し,精査にて洞機能不全症候群・心房粗動と診断し,15歳時にペースメーカ植え込み(VVI)を施行した.以降心房粗動は認めないため抗不整脈剤投与は行っていない.心電図の経過では不完全右脚ブロックパターンと早期脱分極によるST上昇を認めていたが,20歳以降V2誘導でcoved 型のST上昇の形態を呈した.late potentialは 3/3 で陽性,12誘導ホルター心電図ではV2誘導で夜間と食後にST上昇が顕著となった.ピルジカイド40mg負荷にてV2誘導のSTは1.5mVの著明な上昇を呈し,ISPの投与で回復した.【まとめ】突然死の家族歴のあるBurgada型心電図と洞機能不全症候群を合併した症例を経験した.小児期から12年間の心電図変化を追った報告はなく興味ある症例である.洞機能不全症候群とBrugada症候群の両者とも一部にSCN5A遺伝子異常が報告されており,Naチャネル異常との関連も疑われた.今後EPSの施行とICD植え込みについて検討中である.

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