P-I-C-2
新しい酸素化効率の指標―MATCH INDEXとTotal V/Q ratio―
埼玉医科大学小児心臓科
熊谷晋一郎,先崎秀明,熊倉理恵,岩本洋一,杉本昌也,石戸博隆,増谷 聡,松永 保,竹田津未生,小林俊樹

【目的】今回われわれは対流によるガス交換のモデルから,肺外条件に影響を受けにくいV/Q mismatchの定量的な指標としてMATCH INDEXを,有効換気量/肺血流量に比例する指標としてTotal V/Q ratioを提唱し,その有効性,信頼性を検討する.【理論】座標上に,点I(PiO2,ScvO2)点O(PAO2,SaO2)の 2 点をとり,これを結んだ線と酸素解離曲線との交点をMとする.酸素解離曲線は 4 次分数関数で表現し,体温,pH,pCO2を考慮に入れる.IO/IM = MATCH INDEX,直線IOの傾き × Hb濃度をTotal V/Q ratioと定義すると理論的にはTotal V/Q ratioは有効換気量/肺血流量に比例し,MATCH INDEXはV/Q homogeneityと拡散障害を反映する 0~1 の数値である.【方法】(1)カテーテルで得たQpおよび,動脈血CO2濃度とCO2産生率から得たVeをもとにVe/Qpを計算し,これとTotal V/Q ratioとの相関を見た.(2)肺血流シンチのデータとMATCH INDEXとを比較した.(3)術後急性期の患者において,本指標を用いて酸素化の回復過程を追跡した.【結果】(1)Ve/Qp = 0.1413 Total V/Q ratioがγ2 = 0.929で成立した.(2)画像からはある程度の相関があると思われたがさらなる検討が必要である.(3)従来の指標よりも回復過程を鋭敏かつ分析的に反映することが確認された.【まとめ】本指標は,急性期,慢性期を問わず,換気血流比とそのhomogeneityの状態をよく反映する優れた指標である可能性が示唆された.またこれらはCVlineとAlineがあれば経時的に測定可能である.低酸素血症の鑑別と,その経時的変化を他の因子に影響されず正確に反映する本指標の臨床的な意義は高い.

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