P-I-C-9
器質性心疾患を伴わない徐脈頻脈症候群の右房内electro-anatomical mappingの検討
日赤和歌山医療センター第二小児科
豊原啓子,福原仁雄,田里 寛,鈴木嗣敏,中村好秀

【症例 1】8 歳女児.3 歳時に心電図で心房粗動および完全房室ブロックを指摘された.自覚症状は認めなかった.頻拍中に右房内electro-anatomical mapping(EAM)を行い,三尖弁輪を反時計方向に旋回する心房粗動と判断した.voltage mapでは右房前側壁にscar,low voltage areaおよびdouble potentialを認めた.房室ブロックはAHブロックで洞機能低下も認めた.【症例 2】9 歳女児.買い物中に気分不良の既往があり,ホルター心電図で220/分の頻拍を認めた.電気生理検査では複数の上室頻拍(室上稜上部に最早期興奮部位を認める心房頻拍,非通常型房室結節回帰性頻拍,心房細動)が誘発された.前 2 者に対してアブレーションを行った.洞機能低下を認め,EAMでのvoltage mapでは右房後壁から中隔にかけて広範囲にlow voltage areaを認めた.【考察】心疾患術後不整脈においては,心筋切開によると考えられるlow voltage areaが認められ,それが頻拍の原因となることが知られている.器質性心疾患を伴わない徐脈頻脈症候群の症例においても,先天異常および後天性変化によるlow voltage areaの存在があり,それが頻拍と関係していると考えられた.EAMはその範囲や原因を調べるために有用であった.

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