P-I-C-13
内服生活管理を行っていたにもかかわらず突然死した家族性QT延長症候群(KVLQT1)の 1 例
横浜市立大学医学部付属市民総合医療センター小児科
西澤 崇,岩本眞理,瀧聞浄宏,赤池 徹

【序】KVLQT1 遺伝子異常をもつQT延長症候群症例に対し,βブロッカーによる治療は早期後脱分極の抑制につながり,torsades de pointesの抑制,生命予後の改善につながると報告されている.今回われわれは,KVLQT1遺伝子異常が確認されたLQTS症例で,治療としてβブロッカーを服薬していたにもかかわらず,突然死をした症例を経験したので報告する.【症例】13歳女児.6 歳時に運動中の頻回の失神発作が確認され,近医受診.家族歴もあるため,QT延長症候群として診断され,服薬治療を開始された.【家族歴】父方家系にLQT症例および突然死症例を認める.姉がLQT,失神歴を認める.【現病歴】6 歳時よりQT延長症候群と診断され,家族(父,姉)とともに当科にてfollowされていた.運動,水泳にて誘発される失神歴があり,βブロッカー(インデラル)の投与開始となり,遺伝子検索ではKVLQT1 Ala341Valの点変異が確認されていた.友人と登校途中の学校前の坂道で突然意識消失し,教師によるCPR施行されながら市内救命救急センターに運ばれた.マグネシウム持続点滴,PCPSによる体外循環管理が施されたが,心機能改善なく入院 2 日後死亡した.【考察】KVLQT1 異常が確認された症例に対し,βブロッカー投与および運動制限による適切な治療方針の元管理されていた症例の,突然死例を経験した.イベントの当日友人に,“暑い,疲れた”との訴えがあり,体調不良によるストレスが影響した可能性も考えられた.

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