P-I-D-6
健常者の新生児早期から学童期にかけての右心機能の変遷─カラー組織ドプラ心エコー法(tissue velocity,strain)を含めた解析・評価─
日本医科大学付属第二病院小児科1),日本医科大学小児科2)
初鹿野見春1),勝部康弘1),渡辺美紀2),池上 英2),内木場庸子2),倉持雪穂2),大久保隆志2),上砂光裕2),深澤隆治2),小川俊一2)

【背景・目的】成長・発達に伴い右心機能が変化することが予想される.しかし,従来の心エコー法では評価が困難であった.われわれは,カラー組織ドプラ心エコー法(tissue velocity,strain)を用いて,成長・発達に伴う右心機能の変化を検討した.【対象と方法】健常小児45名を以下の 6 群に分類し,カラー組織ドプラ心エコー法により検討した:日齢 0(A群,n = 9),日齢 5(B群,n = 6),1 カ月(C群,n = 7),1 歳(D群,n = 6),6~7歳(E群,n = 9),12~13歳(F群,n = 7).三尖弁の血流パターンより計測した早期拡張期ピーク値(E),apical 4-chamber viewにて右室自由壁基部のstrain収縮期ピーク値,tissue velocityの収縮期(Sw)ならびに早期拡張期(Ew)ピーク値の計測を行った.また,三尖弁と肺動脈の血流パターンからTei indexを算出した.【結果】検討したすべての指標においてA群からB群にかけて有意な変化はみられず,B群とD群の間で有意な変動(p < 0.05)を示し,その後は横這いあるいはなだらかな変動傾向となった.B,D,E群における各指標の数値は,strain: {16.5 ± 2.0,34.9 ± 2.9,28.3 ± 1.8 %},Sw: {3.06 ± 0.26,8.81 ± 0.76,10.32 ± 0.36 cm/s},E: {0.5 ± 0.04,0.66 ± 0.04,0.53 ± 0.02 cm/s},Ew: {3.98 ± 0.78,13.18 ± 0.84,10.82 ± 0.48 cm/s},E/Ew: {0.15 ± 0.03,0.05 ± 0.01,0.05 ± 0.01},Tei index: {0.18 ± 0.05,0.15 ± 0.02,0.13 ± 0.16}.【結語】今回検討した指標で見る限り,新生児早期から生後 1 歳の間で有意な収縮・拡張能の変化が認められ,その後は学童期に達するまで大きな変化は認められなかった.

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