P-I-D-7
慢性心不全における心エコー所見および心電図の相関について
あいち小児保健医療総合センター循環器科
沼口 敦,福見大地,安田東始哲,長嶋正實

【背景】心室内伝導遅延などで心室の収縮に非同期性が生ずることは,心機能の低下を来す一因である.心筋自体の収縮様式は組織ドプラエコー法で評価されるが,非同期性のパラメータとして標準12誘導心電図でのQRS幅が計測される.【目的】一般的な心臓超音波検査による心室収縮様式の評価が,心電図でのQRS幅と相関するかを検討すること.【方法】対象は,当科において臨床的に慢性心不全として経過観察されており,基本リズムが洞調律である症例とした.二心室型修復術が終了していない先天性心疾患は今回の検討から除外した.この条件に合致する 7 例に関して,BNP・心電図上のQRS幅・心エコー上のTei index・M-mode短軸断面像における中隔と左室後壁の収縮位相の時間的ずれ(以下,収縮位相差)を計測した.【結果】7 例の原疾患は,拡張型心筋症 4 例,ファロー四徴症術後 2 例,大動脈弁狭窄(Ross手術後)1 例であった.BNPは19.6~353(166.6 ± 135.6),QRS幅は81~214ms(114.5 ± 47.4ms),左室Tei indexは0.28~0.81(0.51 ± 0.21),収縮位相差は28~152ms(98.0 ± 41.6ms)であった.収縮位相差はTei index・BNPと相関しうるが,QRS幅とは相関を示さなかった.【結論】心不全においてM-mode法でみられる心室中隔と左室後壁の収縮位相のずれは,標準12誘導心電図のQRS幅による評価と合致しない.

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