P-I-D-13
正期産児における末梢性肺動脈狭窄の自然歴
自治医科大学小児科
森本康子,保科 優,白石裕比湖,桃井真里子

【背景・目的】新生児の一過性の末梢性肺動脈狭窄の経過については十分検討されていない.病的な末梢性肺動脈狭窄との鑑別を含め,予後判定のために適切な時期を検討した.【方法】2003~2004年に当科外来にて末梢性肺動脈狭窄(合併心奇形なし)と診断された正期産児15名を心エコーにて経過観察した.【結果】15名の出生週数は36週から41週,平均出生体重3,052g(2,444~3,650),分娩は自然分娩 5 名,帝王切開 5 名,不明 5 名だった.診断時の平均日齢は43.7日(30~69)ですべて 1 カ月検診時の心雑音を契機に診断された.診断時の左肺動脈の最大流速は平均1.78m/s(1.69~2.3)で,平均日齢134(103~155)には心雑音は消失し,最大流速1.11m/s(0.91~1.37)へ自然軽快した.【考察】基礎疾患のない成熟新生児の末梢性肺動脈狭窄には出生後の肺血管拡張に伴う肺血流の増加と肺血管の発育との不一致や,動脈管の閉鎖に伴う一過性の肺動脈の狭窄などが関与していると考えられている.今回の検討では生後半年以内に全例自然軽快した.生後半年を過ぎて狭窄が残存する場合は,病的な末梢性肺動脈狭窄と診断される.

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