P-I-D-14
Fontan型手術非到達例の検討
北海道大学医学部循環器外科1),北海道大学医学部小児科2)
若狭 哲1),杉木宏司1),橘  剛1),今村道明1),窪田武浩1),村下十志文1),安田慶秀1),村上智明2)

Biventricular repair非適応症例の外科治療に関して検討を行ったので報告する.【対象】1994年11月~2005年 1 月に当施設で初回手術を行ったbiventricular repair非適応例45例.男児24例(53.3%).原疾患はheterotaxia 12例,PA/IVS 11例,TA 4 例,MA 3 例,double inlet ventricle 5 例,HLHS 2 例,Ebstein 2 例等であった.第一期手術としてSP shunt 27例,PAB 16例等を施行,第二期手術はBCPSを32例に行い,同時に肺動脈形成 4 例,房室弁形成/置換 2 例,DKS 1 例等を行った. 【結果】死亡を含むdrop-out回避率は全体で64.4%で,初回手術後BCPSまでが76.3%,BCPS後からFontan型手術までが78.1%であった.drop outの原因はLOS/CHFが11例,9 例が原疾患によるもので,内訳はheterotaxia + AVVR 4 例,HLHS 2 例,PA/IVS + major sinusoidal communication 1 例,heterotaxia + PVO 1 例等であった.他 1 例はDORV + restrictive VSDに対するDKSが遅れた例で,1 例はunbalanced AVSD + AVVRでhigh-flow SP shuntがAVVRを増悪させた.3 例は肺要因で,1 例はhigh-flow SP shuntから,1 例はBCPS後のadditional pulmonary flowからPHとなった.また 1 例は術後長期挿管となり肺の状態が増悪,BCPS成立せず低酸素からLOSとなった.2 例に感染死を認めたが 1 例はheterotaxiaで遠隔期に髄膜炎で,1 例はTAPVC repair後に腸管壊死を起こし死亡した.Fontan循環成立後の死亡例は現在まで経験していない.【結語】今回AVVR,特にheterotaxiaに伴うものやHLHS症例でdrop-outのriskが高かった.今後これらの疾患群に対する治療の改善がFontan型手術全体の治療成績向上につながるものと考えられた.

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