P-I-D-16
PA flapを用いたAP window治験例における大動脈,肺動脈の変形
岐阜県立岐阜病院小児循環器科1),岐阜県立岐阜病院小児心臓外科2)
安達真也1),桑原直樹1),後藤浩子1),桑原尚志1),滝口 信2),八島正文2),竹内敬昌2)

【背景】AP windowに対するPA flap法は大動脈に対し自家組織を用いるので術後変形を来しにくい有用な方法といわれている.しかし,AP windowはまれな疾患のため術後の大動脈,肺動脈の変形に関する複数症例の報告はほとんどない.【目的】PA flap法を用いて閉鎖したAP window術後中期遠隔期における大動脈,肺動脈の形態を報告する.【対象および方法】1999年 1 月~2004年12月に当院にて経験したAP windowに対しPA flap法により修復を行った 3 例.症例 1;AP window(type I),ASD,PH,RAA,手術時日齢 8 日.症例 2;AP window(type II),PH,手術時月齢 3 カ月.症例 3;AP window(type III),IAA(A),ASD,PH,手術時日齢12日.3 例とも生存しており,術後半年~1 年の間に心臓カテーテル検査によって大動脈,肺動脈の変形について評価した.【結果】1 例でflap部位にごく軽度の膨隆を認めたものの 3 症例とも臨床的に問題になる程度の変形,瘤は来しておらず,上行大動脈の圧較差は認めなかった.肺動脈に関しては症例 1 で左肺動脈分岐部の軽度狭窄(10mmHg),症例 3 で右肺動脈分岐部の軽度狭窄(15mmHg)を認め,症例 1 に対しPTAを施行した(15mmHg→5mmHg).【考察】type IIIの場合,主肺動脈から右肺動脈のパッチによる修復が必要であり肺動脈狭窄を来す原因となりうる.type Iで起きた左肺動脈狭窄は修復部より離れており原因は明らかでない.【結語】PA flap後,1 年の経過で有意な上行大動脈の狭窄,瘤化等の変形は認めなかった.術後,PSの進行に注意する必要があり,さらに長期的な経過をフォローする必要がある.

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