P-I-E-2
ACTH少量療法に伴う肥大型心筋症
自治医科大学小児科
齋藤真理,森本康子,保科 優,白石裕比湖,桃井真里子

【目的】ACTH療法は,West症候群の治療方法として広く行われているが,経過中に肥大型心筋症(HCM)を発症する例や,HCMに伴う心不全での死亡例が報告されている.そのため近年は,ACTH少量療法を行う施設が増えているが,ACTH少量療法になってからの心筋壁厚の変化を検討した報告は少ない.そのため,われわれはACTH少量療法を行ったWest症候群 7 例について,心筋壁厚の変化を検討した.【方法】ACTH少量療法を行ったWest症候群 7 例について,治療開始前後の心筋壁厚を心臓超音波検査M-modeで計測し,変化率を比較,検討した.【成績】ACTH少量療法開始時の平均年齢は14.1カ月で,1 歳未満の児は 6 例だった.ACTH少量療法前に,HCM 1 例,中心性肥大型心筋症(cHCM)1 例を認めた.ACTH少量療法開始後,新たにHCM 1 例,cHCM 2 例を認めた.ACTH少量療法前からHCM,cHCMを認めた 2 例は,心筋壁厚に変化なく,HCMによる臨床症状はなかった.ACTH少量療法開始後に心筋肥厚を認めた 3 例は,ACTH療法終了後 3 カ月以内に心筋肥厚が軽快した.全経過を通じて,左室流出路狭窄や心機能低下を認めた例はなかった.【結論】ACTH少量療法でも心筋肥厚を認めたが,左室流出路狭窄や心機能低下を認めた例はなく,予後は良好だった.

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