P-I-E-4
先天性完全房室ブロックの経過観察中に心筋炎と判明した 1 例
市立室蘭総合病院小児科1),札幌医科大学小児科2)
近藤謙次1),畠山欣也1),堀田智仙2),高室基樹2),富田 英2)

【はじめに】今回われわれは,先天性完全房室ブロックと考えられていたが経過観察中に心筋炎と判明した 1 例を経験したので報告する.【症例】妊娠分娩歴に異常なし.1 カ月健診で徐脈を指摘され,精査の結果完全房室ブロックを認め,発症時期より先天性完全房室ブロックと判断した.無症候であったが,心拡大が進行し 8 カ月時に,VVI rate 100回/分でペースメーカ植え込み術が施行された.5 歳時に心エコーで左室収縮能の低下が疑われ,シンチグラフィでも中隔のperfusion defectが認められたためカルベジロールの内服を開始した.6 歳時に心臓カテーテル検査および心筋生検が施行され,病理所見より心筋炎と判明した.ペーシングレートを80回/分から60回/分に変更したところ,自脈のQRSが出現し,以後pacing QRSの出現を認めなかった.トレッドミルではRR間隔0.4秒で 2 度房室ブロックが出現した.なおシンチグラフィ等から心筋障害が進展していると考えられたため,エナラプリルの内服を追加し現在経過観察中である.【まとめ】乳幼児期早期に診断された完全房室ブロックでも心筋炎によるものの可能性があり診断に注意が必要であると考えられた.

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