P-I-E-13
川崎病急性期の無菌性膿尿について
東邦大学医学部第二小児科(大橋病院小児科)
中村浩章,二瓶浩一,宇野 拓,青木継稔,四宮範明

【目的】川崎病急性期の病態と無菌性膿尿の関係について検討すること.【方法】対象は川崎病患者40名.男18名,女22名.年齢は 2 カ月~11歳 8 カ月(平均).川崎病急性期の臨床経過と尿沈査所見,特に無菌性膿尿について後方視的に検討を行った.【成績】尿沈査において有意な白血球の増加は24名(60%)で認めた.白血球円柱が確認された症例はなかった.無菌性膿尿の有無と原田スコアの各項目を比較したところ,無菌性膿尿群は有意に原田スコアが高値であり,また一過性の冠動脈拡張を来した 3 例はすべて無菌性膿尿が確認された.尿中白血球数も有意に冠動脈拡張群は高値であった.【考察】尿沈査にて白血球円柱を認めないことから,川崎病急性期の尿中の白血球は尿細管より下部の尿路由来のものと推測された.無菌性膿尿群で原田スコアが高値であることや,冠動脈拡張群で尿中白血球数が多いことは,冠動脈病変形成に重要な白血球の血管外遊走の程度を示している可能性がある.川崎病急性期の尿沈査検査は,簡易な川崎病の病態把握の指標として有用な可能性がある.

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