P-I-E-16
川崎病再発例の臨床的検討
旭川厚生病院小児科
梶野真弓,中右弘一,坂田 宏,沖 潤一

【目的】川崎病再発例について臨床的検討を行い,再発例の特徴を明らかにする.【対象と方法】1998~2004年に当院に入院した川崎病患児100名中 2 回罹患したのは 5 名(5%),男児 4 名,女児 1 名であった.各症例について初回発症時と再発時の主要症状,検査所見,経過について比較検討した.【結果】発症時年齢は初回平均 2 歳 6 カ月,再発時 4 歳 1 カ月.再発までの期間は 1 年 6 カ月.主要症状発現頻度は,初発時結膜充血および四肢末端の変化が 4/5 名,他の 4 項目は 5/5 名と高かった.再発時は結膜充血・四肢末端の変化がそれぞれ 3/5 名,発疹は 2/5 名と低く,主要症状を 4/6 しか認めないものが 3/5 名いた.主要症状出現時期は,頸部リンパ節腫脹が初発時平均3.8病日に対し,再発時1.6病日と有意差(p < 0.05)をもってより早期に認められた.他の 5 症状に差はなかった.治療開始時の原田スコアは初発時平均3.2点,再発時3.6点と差はなかった.検査値の比較では,白血球数初発時平均15,280/γl,再発時20,120/γl,CRP値は初発時平均7.2mg/dl,再発時14.6mg/dlと再発時に高く,血清Na値は初発時平均135mEq/l,再発時132mEq/lと低かったが有意差は認めなかった.IVIG治療は,初発時 5 名,再発時 4 名に行い,追加治療を行ったのは初発時・再発時ともに 1 名であった.ulinastatin併用療法を初発時 1 名,再発時 4 名行った.IVIG治療後解熱までの期間は初発時平均3.6日,再発時4.5日と差はなかった.冠動脈の拡張を認めたものはなく,心合併症は初発,再発時ともに認めなかった.【まとめ】初回発症時と再発時では検査所見,経過,心合併症に差はなかったが,主要症状発現時期には有意差を認めた.頸部リンパ節腫脹は一般に出現頻度は高くないが,川崎病既往児において認めた場合再発を強く疑うべきである.

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