P-I-F-3
成人動脈管開存に対する0.052”Gianturco coilを用いたPrograde multiple deployment
札幌医科大学小児科
小林俊幸,富田 英,高室基樹,堀田智仙

【背景】われわれは昨年の本会で,成人動脈管開存(PDA)コイル閉鎖術では,留置直後に遺残短絡を残しやすく,微小な遺残短絡であっても溶血を来す可能性が高いため,手技中での完全閉鎖を心掛けることを強調した.また,成人PDAでは造影上,形態の評価が難しく,コイルの選択に難渋することがある.2004年 8 月以降,当科ではコイル留置前に順行性に動脈管内に可能な限りの多くのBrite tip catheterを通過させ,動脈管の形態評価,コイルの選択をし,それから順次コイル留置を行うPrograde multiple deploymentを採用している.【目的】Prograde multiple deploymentによるコイル閉鎖術の有用性を報告すること.【症例】対象は当科で施行した成人PDAコイル閉鎖術 2 例.年齢,体重,最小径,Qp/Qsは症例 1 が55歳,55kg,4.9mm,1.1,症例 2 が66歳,47kg,4.9mm,1.7.いずれもA型,動脈管壁の石灰化を認めた.肺高血圧は認めなかった.【方法】症例 1 では 4 本の 6F Brite tip catheterが動脈管内に通過可能であった.052コイル10mm × 15cm,8mm × 8cm,8mm × 8cm,8mm × 8cmの 4 個を順次留置し,微小遺残短絡を認めたためFlipperコイルを 1 個追加留置した.依然として残存短絡を認めたが,さらなるカテーテルの通過は困難であり終了,翌日完全閉鎖を確認した.症例 2 では 3 本の 6F Brite tip catheterが動脈管内に通過可能,052コイル10mm × 15cm,8mm × 10cm,8mm × 10cmの 3 個を順次留置し,直後の造影で完全閉鎖を確認した.両症例とも合併症なく閉鎖術を終了した.【結論】径の大きな成人のPDAに対しPrograde multiple deploymentによるコイル閉鎖術は有用な選択肢となりうる.

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