P-I-F-4
Björk型手術(RA-RV connection)後19年目にone and one-half ventricular repair への転換を行った 1 例
広島市立広島市民病院心臓血管外科1),広島市立広島市民病院小児循環器科2)
久持邦和1),鎌田政博2),中川直美2),峰 良成1),木口久子2),吉田英生1),柚木継二1),櫻井 茂1),石橋幸四郎1),大庭 治1)

one and one-half ventricular repairについてはその適応症例,遠隔成績など,いまだ不明の点が多く,議論のあるところである.今回われわれは,Björk型手術(RA-RV connection)後19年目にone and one-half ventricular repair への転換を行った 1 例を経験したので若干の文献的考察を含めて報告する.症例は32歳男性.三尖弁狭窄 + 心房中隔欠損症との診断にて 2 歳時に左Blalock-Taussig shunt(original)を施行された.その後,13歳時にBjörk型手術(右心耳と自己心膜パッチを用いたRA-RV connection)を施行された.(いずれも他院にて)以後,フォローアップされていたが,数年前より心不全症状が出現し,次第に増悪.著明な心拡大(CTR 68%),うっ血肝(T.Bil 3.6)がみられるようになったため当院へ紹介となった.心カテーテル検査(単位mmHg以下同様)では,RA 17,RV 27/6,PA 27/16,LV 114/5,Qp/Qs .068,Rp 1.58.動脈SatO2 94%.右室造影にて造影剤が導管を通ってRAへ逆流し,著明に拡大したRAの中に 2 分間以上停滞する所見がみられた.またSVCからLAへの側副血行路の著明な発達がみられた.UCGでは左室は容積(正常値の100%),心機能(EF64%)ともに正常であった.右心室容積・機能の測定は重度の逆流のため困難であったが,三尖弁輪径は21mmと正常の73%と判断された.これらの所見から,(1)右心室は全循環血液量を賄うには不十分である,(2)Rp 1.58であり両方向性Glenn手術は可能であると考えられることから,one and one-half ventricular repairが適当であると判断し,SVC-RPA吻合,三尖弁形成,RA縫縮,RA-RV connectionの切除を施行した.人工心肺離脱時SVC(PA)17/8,RA7 であった.術後は翌日に人工呼吸器より離脱.2 日目に一般病棟へ退出した.その後大きな問題なく回復し,術後27日目に独歩退院となった.現在術後 3 カ月経過し,外来通院中であるが,CTR 58%,T.Bil 1.6と改善がみられている.

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