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成人期に達した先天性心疾患患者について―周産期センターの現状―
大阪府立母子保健総合医療センター小児循環器科1),大阪府立母子保健総合医療センター心臓血管外科2)
北 知子1),萱谷 太1),稲村 昇1),角由紀子1),那須野明香1),中島 徹1),岸本英文2),川田博昭2),盤井成光2)

【背景】大阪府立母子保健総合医療センター小児循環器科は1981年開設以来約25年が経過している.成人期に達した患者が年々増加する一方で成人対象の循環器内科が不在であるセンターとしてはそのフォローが深刻な問題となりつつある.【目的】当センターにおける成人期に達した先天性心疾患の患者の現状を把握する.【対象および方法】当科受診歴のある患者の中で,2005年 1 月現在20歳以上で現在でも定期的にフォローを続けている60例を対象にし,診断・フォロー状況・症例の現状(NYHA・就職の有無・投薬等)について調査した.【結果】60例の現在年齢は平均21.5歳(25歳以上 5 例,最高27歳)で,男28例女32例であった.心疾患はTOF術後・15例VSD術後12例・CoA複合術後 8 例・ASD術後 5 例・その他20例で,術後症例が54例(90%)を占めていた.受診間隔は 1 カ月~3 年,1 年未満が14例(23%)であり,投薬を 8 例(13%)が続けていた.NYHAは 1 例を除き全例が 1~2 度(管理区分D-3E可),就職36例,学生17例であった.一方,他臓器疾患を合併しているのが19例(30%),精神発達遅延あるいは染色体異常合併が21例(35%)と高率であったが,当センターで他科でもフォローが継続されている症例は 8 例にとどまっていた.また20歳以上での入院歴がある 3 例の内 2 例は他院への入院依頼となっていた.【まとめ】当センターで現在フォロー中の成人先天性心疾患患者の現状は概ね良好であったが頻回の受診や内服薬継続を必要とする症例も多かった.また染色体異常や他臓器疾患を合併している患者が 3 割を占めており成人期に達しても循環器内科へ紹介することが難しい現状がみられた.近辺の循環器内科との密接な連携を図ると同時に当センターでフォローを続けざるを得ない症例に対しての受け入れ体制を早急に整える必要があると思われる.

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