P-I-F-6
成人先天性心疾患における一側maze手術の検討
社会保険中京病院心臓血管外科1),社会保険中京病院小児循環器科2)
櫻井寛久1),櫻井 一1),加藤紀之1),長谷川広樹1),澤木完成1),杉浦純也1),松島正氣2),西川 浩2),加藤太一2),久保田勤也2)

【目的】根治術前,根治術後を問わず成人先天性心疾患患者において上室性不整脈はしばしばみられ,他病変と合併することも多く,内科的療法では難治性であることも多い.今回,当院において成人先天性心疾患患者に一側maze手術を行った症例をまとめた.【症例】症例 1:43歳女性,ASD,PH,PAF.幼少期にASD指摘され放置,42歳時より動悸出現,前医にてASD,AFと診断,当院紹介受診し,ASD閉鎖,肺動脈弁交連切開,右房maze施行,術後 1 週間後に洞調律で安定し以後洞調律を維持.症例 2:20歳男性,Ebstein,PSVT.幼少時にWPWを指摘されEbsteinを診断されたが,本人が積極的な治療を拒否,12歳頃よりPSVTを認め,19歳時にカテーテルアブレーションを施行し,ASD閉鎖,三尖弁形成,右房maze手術を行った.現在洞調律を維持している.症例 3:31歳女性.SA,SV s/p APC,AF,15歳児にAPC施行,25歳頃よりAF,29歳時に蛋白漏出性胃腸症の診断,31歳時にTCPC conversion,RA mazeを行った.以後AFはみられず洞調律を維持している.症例 4:21歳女性,CrTGA,PS,TR.9 歳時にRastelli手術行い,15歳頃よりAFを繰り返し,導管に狭窄がみられMVOP施行,以後もAF再発,18歳時にカテーテルアブレーション施行,AF繰り返し,21歳時にTVR,LA maze施行以後洞調律を維持している.【結論】今回われわれは合併疾患に付随した心房側のmaze手術を行うことにより,良好な成績を得ることができた.

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