P-I-F-7
当院における成人先天性心疾患の外科治療
国立成育医療センター心臓血管外科
高岡哲弘,藤崎正之,戸成邦彦,関口昭彦

【背景】先天性心疾患に対する外科治療が低年齢化の傾向にあるなかで,成人期に再手術を含め外科治療の対象となる症例が存在する.当院における成人先天性心疾患の外科治療の現状について検討した.【対象】1994年 6 月~2005年 1 月に,成人期(20歳以上)に手術を施行した29例.年齢は20~51歳.手術内訳は,ASD閉鎖 4,VSD閉鎖 4,MVR + TAP 2,PVR 3,TVR 1,TAP + Maze 1,RVOTR 4,Fontan後AS解除 1,肺動脈弁切開 1,上行大動脈パッチ拡大 2,coarctectomy 1,TCPC conversion+Maze 2,Glenn手術 1,体肺動脈シャント術 2.初回手術例はASD 4 例,VSD 3 例の計 7 例のみで他はすべて再手術であった.【結果】手術死亡は 1 例で,遠隔死亡はなかった.死亡例は,PA,VSDで生体弁によるTVR後の再TVR症例で,C型肝炎による術後肝不全が死因であった.耐術例はほぼ元の日常生活,職場へ復帰した.術後合併症として,無脾症候群の 1 例(肺動脈弁切開術)で深部静脈血栓症,TCPC conversionの 2 例で術後急性期の頻脈を認めた.【考察と結語】成人先天性心疾患(再手術例を含む)の外科治療は多岐にわたるが,その成績はおおむね良好であった.今後も特に再手術症例は増加することが予想されるが,積極的に外科治療を行うのが望ましいと考えられた.

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