P-I-F-9
VSD連続縫合閉鎖と右室流出路direct monocuspによるFallot四徴症根治術
筑波大学臨床医学系循環器外科1),筑波大学臨床医学系小児科2)
平松祐司1),松原宗明1),野間美緒1),高橋実穂2),堀米仁志2),榊原 謙1)

【目的】Fallot根治術に際して,連続縫合VSD閉鎖法に加え,流出路切開の大きさに応じて右室流出路にGore-Tex monocuspを直接縫着する方式(RV mono)を採用した.VSD連続縫合によりconotruncal repairに準じた三尖弁機能温存が果たせるうえ,RV monoにより積極的な流出路狭窄解除と肺動脈弁逆流(PR)の良好な制御が可能と考えた.早期中期成績を従来の術式と比較した.【方法】2002年以降のVSD連続縫合によるFallot根治12例(連続群;9 カ月~2 歳,追跡期間23カ月).これ以前のVSD結節縫合によるFallot根治22例(結節群;1~14歳,追跡89カ月)を対照とした.両群とも10mm以内のtransannular切開であればcuspなしに自己心膜流出路パッチのみを当て,10mm以上の切開には,連続群ではRV mono + 自己心膜パッチを,結節群ではmonocuspを縫着したG-T流出路パッチを用いた.RV monoは弁輪径よりも 5mm大きな幅にトリミングし,右室切開縁に直接縫着した.連続群のVSD閉鎖はmembranous flapと後下縁辺縁心内膜を使って伝導系と中隔尖の使用を避けた.【成績】連続群の内訳は,noncusp 7 例,RV mono 5 例.6 例を無輸血で終え(無輸血率50%,noncusp 4,RV mono 2),7 例は術当日に呼吸器を離脱した.房室ブロック発生はなく,最遠隔期の三尖弁逆流は全例II度以下,PRもII度以下で,noncusp,RV mono間に差はなかった.平均遮断時間はnoncusp 64分,RV mono 76分であった.対して結節群は,noncusp 9 例,monocusp G-T13例で,無輸血は 6 例(無輸血率27%,noncusp 3,monocusp GT 3),当日の呼吸器離脱はなかった.房室ブロックはなく,最遠隔期の三尖弁逆流,PRは連続群と同等であった.遮断時間はnoncusp113分,monocusp GT104分であった.【結論】VSD連続縫合とRV direct monocuspによるFallot根治術式により,PRの制御効果を含めて従来と同等以上の早期中期成績を得,修復時間は短縮された.さらに遠隔期での評価を必要とする.

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