P-I-F-10
体重2,000g以下で手術施行された先天性心疾患症例の検討
埼玉医科大学心臓血管外科1),埼玉医科大学小児心臓科2)
岩崎美佳1),朝野晴彦1),枡岡 歩1),山火秀明1),尾崎公彦1),加藤木利行1),許 俊鋭1),小林俊樹2),先崎秀明2),石戸博隆2)

術前管理の進歩により低体重児を可能な限り体重増加をはかり,手術に持ち込めるようになってきたが,病態の難しさから低体重で手術を施行せざるを得ない場合が存在する.その場合,人工心肺の問題や血管の脆弱性などにより手術成績が芳しくない.今回体重2,000g以下で手術介入した症例(未熟児PDAは除く)について検討した.【症例】1986~2004年 6 月まで計16例の2,000g以下手術症例を経験した.人工心肺下根治手術 4 例(TAPVR 2,A-P window 1,右肺動脈上行大動脈起始症 1),人工心肺下姑息手術 4 例(TOF PA 1,HLHS CoA 1,PA IVS 2),非人工心肺手術 8 例(CoA IAA comlex 3,CoA 1,ASD VSD hypo. RV 2,VSD PH 2)手術時体重1,420~2,000g,手術は生後 3~30日の間に施行された.染色体異常合併 4 例(18 trisomy 2,21 trisomy 1,CHRAGE synd. 1),他の合併奇形は食道閉鎖 2 例であった.【結果】手術死亡 3 例(19%)A-P windowは人工心肺のトラブル,HLHS CoA例は心不全,TOF PAは術後縦隔炎から敗血症で死亡した.姑息手術生存10例のうち根治手術到達は 7 例(70%)であった.CoA IAA comlex 3 例は術後 4 カ月~12カ月で二期的手術で心内修復を行ったが,うち 2 例はCoA IAAの再狭窄のため再手術を必要とした.TAPVR 2 例は 2 例とも術後PVOのため再手術を行い,1 例は死亡,1 例は長期生存している.【結語】体重2,000g以下の手術症例の成績はいまだ良好とはいえない.また,吻合の再狭窄の発症率も高く,吻合法の工夫が必要であると考えられた.

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