P-I-F-11
小児期閉塞性肥大型心筋症に対する外科治療経験
東京慈恵会医科大学心臓外科
黄 義浩,森田紀代造,松村洋高,中村 賢

【目的】小児期に外科治療を要した肥大型心筋症症例に対し,その治療成績と問題点につき検討した.【対象および治療】2001年 6 月までに当施設で根治手術を施行した15歳以下の小児 4 症例.手術は全例に大動脈弁経由で中隔心筋切除術を行い,併用手術は右室流出路心筋切除(1 例),僧帽弁置換術(1 例)を施行した.手術年齢は 2~15歳(平均 9 歳),体重は 9~45kg(平均14kg)であった.【結果】手術死亡は 1 例(LOS),生存例での左室流出路圧較差,左室拡張末期圧ともに術後改善を得たが,術後合併症としての不整脈,心室中隔壁の奇異性運動を認めた.人工弁関連の合併症は認めなかった.追跡期間は 4 年 7 カ月~26年 6 カ月(平均11年 5 カ月)であった.【結論】肥大型心筋症では心筋だけでなく,房室弁の多様な構築異常もあるため,時には僧帽弁の外科治療が有効となるが,小児例では心筋切開・切除のみに頼る場合が多い.今回の検討でも,治療効果の割には術後合併症も多く,本疾患の小児期外科治療の難しさが再確認された.

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