P-I-F-12
心内奇形に根治術を施行したELBW 3 例の経験
大垣市民病院胸部外科1),大垣市民病院小児循環器新生児科2)
玉木修治1),横山幸房1),横手 淳1),六鹿雅登1),石本直良1),田内宣生2),大城 誠2),倉石建治2),西原栄起2),山本ひかる2)

【はじめに】出生体重が1,000g未満の超低出生体重児(ELBW)ではwater balanceに対する許容が小さいため体重増加が困難で,時として内科的あるいは外科的PDA閉鎖を必要とする症例も多い.ELBWで心内奇形を合併する症例ではさらに呼吸循環の管理が困難であるが幼弱性ゆえに根治術の時期に関しては慎重に検討する必要がある.今回われわれは心内奇形を合併したELBW 3 例に根治術を施行したので報告する.【症例 1】在胎30w1d,緊急帝王切開(e-C/S)により出生した女児.出生児体重は564gで10日間の呼吸管理を要した.UCGでPS,ASDと診断されたが心不全は軽微で約 6 カ月後2,940gで退院,4 歳時9.6kgで根治術を施行し順調に経過している.【症例 2】在胎30w0d,e-C/Sにより出生した双胎の女児,出生児体重は944gで蘇生を要した.UCGでVSD,PDA,PHと診断され日齢27(908g)にPDA ligationを施行,日齢154に気管tubeを抜去,この間特異な顔貌などによりCornelia de Lange症候群と診断された.日齢222に施行した心臓catheter検査ではhigh resistant PHであるが,NOに対する反応があり日齢237(5.3kg)に根治術を施行した.日齢293に気管tubeを抜去,日齢379にHOTを導入して退院した.残存するPHはCornelia de Lange症候群の関与も示唆された.【症例 3】在胎25w4d,e-C/Sにより出生した女児.出生児体重は870g,UCGでTAPVC Iaと診断されたがPVOはなく呼吸管理により体重増加を待つ方針とした.しかし次第にPVOが進行したため,日齢90(受胎後38w3d)根治術を施行した.手術時体重は1,730gであった.日齢137に計測されたRV/Ao(syst.)は25/82であり,日齢141に気管tubeを抜去した.【まとめ】心内奇形を合併したELBW 3 例に対して根治術を施行した.慎重な術前管理により体重増加をはかり根治術を施行する方針であるが,体重増加不良や全身状態の改善が得られない場合には躊躇せず根治術を施行すべきであると考えている.

閉じる