P-I-F-13
超低出生体重児の動脈管開存症に対する外科治療
茨城県立こども病院心臓血管外科1),茨城県立こども病院小児科2)
杉森治彦1),阿部正一1),吉村幸浩1),五味聖吾1),磯部剛志2),塩野淳子2),岩崎陽子2)

【はじめに】新生児とくに超低出生体重児(出生体重1,000g未満)の動脈管開存症(以下PDA)の薬物療法無効例に対しては手術による確実な閉鎖が選択される.今回,当院における超低出生体重児のPDAに対する外科治療成績について報告する.【対象と方法】1998年 4 月~2005年 1 月のPDA外科治療例33例のうち,超低出生体重児13例を対象とした.生後早期の超低出生体重児では,移動のストレスを少なくするために,病棟内手術を行っている.【結果】術前インダシン投与例は10例で,3 例は腹部膨満または母体インダシン投与例の出生後消化管出血によりインダシン投与の不適応とした.出生体重は中央値670g(493~938g),在胎週数は中央値25週 1 日(23週 4 日~31週 2 日)であった.手術時日齢は21 ± 19日であり,日齢 7 日以内に手術を施行した症例は 5 例であった.術式は,結紮術を 9 例,クリッピングを 4 例に施行した.PDAの径は3.8 ± 1.0mmであった.病棟内手術を 4 例に施行した.手術時間は38 ± 9 分であった.出血量は1.9 ± 1.7mlであり,術中の出血による輸血例はなかった.術後心臓死およびその他の合併症を認めなかった.術前から壊死性腸炎(以下NEC)が疑われていた症例で,術後12日目に発症した腸管穿孔から術後76日目に死亡した症例を 1 例経験した.その他の症例は全例生存した.【まとめ】低出生体重児のPDAにおいては,インダシン無効例や腹部症状合併例に対して積極的に外科治療を施行している.今回の調査では,NEC関連死亡を 1 例認めたが,手術合併症を認めず外科治療は安全な治療法と考えられた.今後とも,インダシンによる重度副作用を回避しかつ病棟内手術など児のストレスを低減する工夫を取り入れて治療を実施していく方針である.

閉じる