P-I-F-15
MUFが小児開心術中の心機能に及ぼす影響の検討
三重大学医学部胸部外科1),三重大学医学部小児科2)
横山和人1),高林 新1),梶本政樹1),新保秀人1),澤田博文2),三谷義英2)

【目的】体外循環技術としてのmodified ultrafiltration(MUF)の有用性が報告されている.小児開心術の体外循環離脱後にMUFが心機能に及ぼす影響につき検討した.【対象と方法】MUFを導入した2003年 5 月以降のVSD根治術(< 3y)15例を対象(M群)とし,MUF導入前のVSD根治術(< 3y)15例(C群)と比較検討した.術中Hb,尿量,水分バランス,術中輸血量を両群間で比較し,体外循環終了時から閉胸までのカテコラミン量,血圧,心拍数,中心静脈圧を15分ごとに評価した.【結果】HbはM群でMUF終了時:12.2 ± 2.2g/dlで,C群の10.3 ± 1.9g/dlより高値であった(p = 0.02).術中尿量はM群:361 ± 180ml,C群:311 ± 153ml,輸血量はM群:420 ± 230ml,C群:559 ± 199mlとMUFにより尿量増加,輸血量減少の傾向を認めた.水分バランスはM群がC群より低い傾向を認めた.M群における体外循環終了後15分(MUF終了時点),30,45,60分の平均拡張期血圧はおのおの42.8,43.2,44.3,42.4mmHgで,C群の34.2,37.6,38.5,40.0mmHgに比し有意に高かった(p < 0.05).収縮期血圧,心拍数については体外循環終了後30,45,60分においておのおのM群;141.4,141.9,141.8/minに対しC群;157.4,154.9,155.9/minと,体外循環終了後30分においてM群がC群より有意に少なく(p = 0.01),45分,60分においては少ない傾向を認めた(おのおのp = 0.06,p = 0.054).【結語】(1)体外循環離脱後にM群ではC群と同等のカテコラミン量,中心静脈圧で血圧上昇および心拍数低下を認めた.(2)MUFにより体外循環離脱後急性期の循環を改善する効果が期待できると考えられた.

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