K-V-7
無脾症候群の周術期管理に対するアミオダロン投与の有効性
静岡県立こども病院循環器科
鶴見文俊,伴由布子,芳本 潤,原 茂登,満下紀恵,金 成海,田中靖彦,小野安生

【はじめに】無脾症候群は頻拍性不整脈を呈することが多く,特に開心術後早期の危険因子となる.当院では近年,既往があり術直後の不整脈のリスクが高いと考えられる症例に対し,術前からのアミオダロンの経口投与を考慮している.その効果,投与量と血中濃度について検討する.【対象】1998年10月~2004年 9 月に開心術を施行した無脾症候群38症例73開心術(姑息術,Fontanを含む)につき検討した.投与量と血中濃度については9症例で検討した.【結果】術前に上室性頻拍の既往(心カテ操作中を含む)のあった32例において,術後不整脈の発生は,非投与群18例中12例に対して,アミオダロン投与群では14例中 4 例であった(p = 0.07).全体では開心術73例のうち15例でアミオダロンが投与され,投与維持量は平均9.8 ± 5.3mg/kg(中央値9.6),血中濃度は平均325.7 ± 210.5 ng/ml(中央値276)であった.副作用は徐脈が 1 例,甲状腺機能低下が 2 例であった.その他TdP等は認めなかった.【考察】近年の無脾症候群に対する手術成績の改善に伴い,周術期の頻拍性不整脈の管理が浮き彫りにされてきた.術後頻拍の合併で失った 3 例はいずれも非投与群であった.特に術後早期の上室性頻拍は,難治性であることが多く,アミオダロンの有効性が示された.また,比較的低い血中濃度でも効果が認められる可能性があり,重篤な副作用は少なかった.

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