![]() ![]() |
B-II-19 |
乳幼児開心術後縦隔炎に対する閉鎖式持続洗浄法の有用性 |
筑波大学臨床医学系循環器外科
加藤秀之,平松祐司,野間美緒,松原宗明,佐藤真剛,榊原 謙 |
【目的】乳幼児開心術後縦隔炎の治療に関して,汎用性のある方法論は確立していない.今回われわれは,開心術後縦隔炎を発症した乳幼児 3 例に対して同様の閉鎖式持続洗浄法を行い良好な結果を得た.臨床経過を提示し,本法の特性を考察する.【方法】症例 1;2 歳,男児,体重10.3kg.Fallot四徴症根治術後30日目に胸骨正中部が離開し,MRSAが同定された.術後32日目に縦隔洗浄ドレナージ術を行い,注入用,排液用の 2 本のドレーンを留置したうえで,皮膚のみを閉鎖,抗生物質入り生理食塩水による閉鎖式持続洗浄を開始した.ドレナージ術後 4 日目に胸骨閉鎖し,その後さらに10日間持続洗浄を継続した.症例 2;2 カ月,男児,体重3.5kg.PAIVSに対して右modified BTSおよび自己心膜パッチによる右室流出路形成術を行った.術後11日目に縦隔炎を発症.術後16日目に縦隔洗浄ドレナージ術を行い,ドレナージ術後 6 日目に胸骨閉鎖しながら,計16日間閉鎖式持続洗浄を行った.症例 3;11カ月,女児,体重8.2kg.Fallot四徴症根治術後49日目に遺残した心室pacing leadに起因する縦隔炎を発症.術後50日目に縦隔洗浄ドレナージ術を行い,ドレナージ術後 9 日間閉鎖式持続洗浄を行った.【成績】炎症反応の陰転化および洗浄液の細菌培養陰性を目安に平均13日間(9~16日)の閉鎖式持続洗浄を行った.初期の 2 例はドレナージ術後 4 および 6 日目に二期的胸骨閉鎖を行ったが,3 例目は胸骨への炎症波及が少なく,一期的に胸骨閉鎖を行った.3 例とも修復に使用した人工血管,自己心膜等への感染の波及は認められなかった.抗生物質の点滴静注は平均23日間(21~28日)継続した.3 例ともに 6 カ月以上(6~23カ月)感染の再燃を認めていない.【結論】乳幼児開心術後縦隔炎に対する治療法として,閉鎖式持続洗浄法は簡便,有効かつ汎用性のある対処法であると考えられた. |
![]() |
閉じる |