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D-II-5 |
Down症候群に認められる心血管疾患の特徴 |
日本小児循環器学会心血管疾患の遺伝子疫学委員会
松岡瑠美子,小穴慎二,市田蕗子,小川俊一,小野安生,小山耕太郎,上砂光裕,黒江兼司,里見元義,城尾邦隆,白石 公,高橋悦郎,塚野真也,富田 英,中川雅生,中西敏雄,羽根田紀幸,馬場 清,広田浜夫,福重淳一郎,松裏裕行,村井孝安,村上智明,森 克彦,森 一博,安田東始哲,山岸敬幸,吉永正夫 |
【背景と目的】日本小児循環器学会遺伝子疫学委員会では2002年 7 月~2005年 6 月の 3 年間にわたり「Down症候群の遺伝子型と表現型(合併心奇形,肺高血圧など)の検討」,「乳幼児のDCMの疫学と予後」について,80施設の全疫学委員95名に疫学アンケート調査を依頼した.【対象および方法】Down症候群の遺伝子型と表現型(合併心奇形,肺高血圧など)の検討:14施設857例,乳幼児のDCMの疫学と予後:4 施設 8 例,その他の先天性血管疾患:5 施設157例の回答があった.Down症候群の遺伝子型と表現型(合併心奇形,肺高血圧など)の検討に関する報告を行う.【結果】染色体の核型は,モザイク型が 3 例,転座型が10例で,残りは標準型21トリソミーであった.心血管疾患の主診断の頻度は,心室中隔欠損(VSD:37.8%),心内膜床欠損(AVSD:29.9%),動脈管開存(PDA:10.2%),心房中隔欠損(ASD:10.0%)の順で高く,一般の心血管疾患の頻度に比べ,VSD,ASDでは差はなかったが,AVSD,PDAにおいて有意に高頻度であった(p < 0.01).また心疾患の半数に肺高血圧(PH)が合併していた.VSDに75%,AVSDに50%,PDAに50%,ASDに25%のPHの合併を認めた.さらに,左上大静脈遺残(PLSVC),右鎖骨下動脈起始異常(aberrant RSCA)などの血管奇形も認められ,一般の心血管疾患の頻度に比べ有意に高頻度であった(p < 0.01).大血管転換(TGA),総肺静脈環流異常(TAPVR)などは認められなかった.全体の性差は 1:1 であった.VSD,PDAで男女比 1:1,TOFで男女比2.4:1 と一般の心血管疾患の性差と同様であった.一方,ASD,AVSDにおける男女比 1:1 と,一般のASD,AVSDの患者の男女比 1:2,1:2.5と異なっていたのは興味深い. |
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