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E-II-10 |
血管新生抑制因子endostantinはhepatic factorか? |
東京女子医科大学循環器小児科
森 善樹,中西敏雄,中澤 誠 |
【背景】Glenn術後に肺動静瘻が形成されることは知られており,その成因として肝臓から生成される因子(hepatic factor)の関与が示唆されている.肝臓を通過する血液を再び肺動静瘻のある側の肺動脈に流すことで,肺動静瘻が消失,ないしは改善することから,hepaitc factorは血管新生抑制因子である可能性が高い.しかしhepaitc factorの同定はいまだされていない.【目的】肝臓から生成される血管新生抑制因子の一つであるendostatinがhepatic factorか否かを検討すること.【方法】Glenn術後(G群)10例,チアノーゼ心疾患の心内修復術後症例(C群)19例を対象に上大静脈(SVC),下静脈(IVC),大動脈(Ao)から心カテの際に採血し,endostatinをELISAで測定し比較した.【成績】G群を含め造影上で肺動静瘻の症例はなかった.endostatinの血清濃度はG群ではSVC 7.3 ± 3.9ng/ml,IVC 7.8 ± 3.9ng/ml,AO 7.1 ± 4.1ng/ml(p > 0.5),C群ではSVCで7.0 ± 3.3ng/ml,IVC 7.1 ± 2.9ng/ml,AO 7.2 ± 3.1ng/ml(p > 0.5)で,両群ともにSVC,IVC,Aoの血清濃度に有意差がなく,肝静脈血を多く含むIVCでの濃度と比較しSVCでの濃度は低下していなかった.また部位別のG群,C群間での差もなかった(SVC:p > 0.5,IVC:p > 0.5,Ao:p > 0.5).【結論】endostatinはhepatic factorではなく,hepatic factorは他の血管新生抑制因子である可能性が高い. |
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