【目的】pulmonary coarctation，non-confluent PAを合併した単心室症例の 4 例に対して新生児期，乳児期早期に肺動脈形成術を行い，良好な結果が得られたので，その有用性について報告する．【症例 1】日齢19男児，体重3,470g．診断はMA，DORV，PA，PDA，TR．心血管造影にてpulmonary coarctationを認め，PA indexは174であった．手術はPA angioplastyとB-T shuntを行った．8 カ月時にGlenn手術，肺動脈形成術，三尖弁輪形成術，ASD拡大術を行った．11カ月時のPA index 167で，1 歳 3 カ月時にFontan手術を行った．【症例 2】日齢21男児，体重3,200g．診断はSRV，PA，PDA．心血管造影にてductus-両側肺動脈接合部にpulmonary coarctationを認め，PA index 153であった．手術はPA angioplastyとB-T shuntを行った．4 カ月時にはPA index 320，Rp 1.4unit・m²であった．7 カ月時にFontan手術を行った．【症例 3】1 カ月男児，体重4,156g．診断はasplenia，SRV，PA，non-confluent PA，bilateral PDA，TAPVC．術前のCTにてnon-confluent PAを認めた．手術は両側動脈管を結紮切離して，端々吻合を行い，吻合部にB-T shuntをおいた．6 カ月時にPA index 201，Rp 2.0unit・m²であった．11カ月時に両側Glenn手術およびTAPVC repairを行った．現在，Fontan手術待機中．【症例 4】1 カ月男児，体重4,380g．診断はSRV，PA，PDA．日齢22に行った造影CTにてpulmonary coarctationを認めた．手術は肺動脈形成術と右B-T shuntを行った．7 カ月時にはPA index 277，Rp 1.6unit・m²であった．1 歳時にFontan手術を行った．【考察】pulmonary coarctationやnon-confluent PAを伴う単心室症例は，肺循環のアンバランスを来しやすく，通常の姑息手術ではFontan手術に最適な肺のコンディションが得られないことがある．これらの症例に対して新生児期，乳児期早期に肺動脈形成を積極的に行うことにより均等な肺血流を保ち，早期にFontan手術に到達し得ることが分かった．