P-II-A-2
心室中隔欠損のない両大血管右室起始(DORV with intact ventricular septum),L-MGAの 1 例
大阪市立総合医療センター小児循環器内科1),大阪市立総合医療センター小児心臓血管外科2)
杉本久和1),村上洋介1),江原英治1),兪 幸秀1),西垣恭一2),川平洋一2),上野高義2)

症例は在胎40週2,960gで出生した女児.生後 0 日に心雑音とチアノーゼに気づかれ心エコーで僧帽弁閉鎖を疑われ生後 1 日に搬送された.心エコー,心臓カテーテル検査でDORV with intact ventricular septum,L-MGA,左室低形成,僧帽弁形成不全,心房中隔欠損(ASD)と診断しBASを行った.生後18日に肺動脈絞扼術(PAB)を行ったが心不全が続き,さらにASDの狭窄(2 度目のBASも無効)によるチアノーゼが進行したため外科的ASD作成,再PABを行った.術後しばらくして再びチアノーゼが現れ生後 6 カ月に左ブラロック短絡術を必要とした.生後 1 年の心臓カテーテル検査で大動脈弁下狭窄(SAS)が進行しDKS手術と両方向性グレン手術(BDGS)を行い生存している.【考案】DORV with intact ventricular septumはまれな先天性心疾患で,報告例は死亡例が多い.さらに外科治療の報告はTroise,Napoleoneなどと散見されるに過ぎない.左室は盲端となっており僧帽弁閉鎖と同様に肺静脈血の出口はASDしかない.ASDが狭小化しBASを行ったが効果が不十分なため今回の症例のように外科的ASD作成を行っている症例が多い.Fontan手術まで進んだ報告はない.【まとめ】(1)まれなDORV with intact ventricular septumの症例を経験した.(2)外科的ASD作成が必要であった.(3)数度の外科治療によりBDGSまで進むことができた.

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