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当科における新生児心房粗動 3 例について
鳥取大学医学部周産期・小児医学1),鳥取市立病院小児科2),鳥取県立中央病院3)
中川ふみ1),船田裕昭1),小西恭子1),辻 靖博1),田村明子2),星加忠孝3),神崎 晋1)

【はじめに】胎児心エコーまたは出生後に診断した新生児心房粗動(以下AF)の 3 例について,治療および経過を報告する.【症例 1】(母体)妊娠17週Mumps罹患,妊娠中毒症.36週胎児頻拍240bpm指摘されたが経過観察となった.38週 2 日帝王切開.(児)3,376g.心電図はHR 250bpm,2:1 伝導のAF.ジゴキシン内服開始,生後24時間で突然sinus rhythmとなりその後AF再発認めなかった.1 歳時までジゴキシン予防内服継続した.【症例 2】(母体)妊娠40週 0 日胎児頻拍230bpm指摘.胎児心エコーにてAF疑われ,陣痛発来もあり緊急帝王切開.(児)3,469g.心電図はHR 230bpmのnarrow QRS tachycardia.ATP静注後 2:1 伝導のAFと診断.ジゴキシン急速飽和で改善なくcardioversion施行しsinus rhythmとなった.その後ジゴキシン予防内服開始.生後 2 カ月ジゴキシン内服中止後もAFの再発を認めない.【症例 3】(母体)妊娠37週胎児頻拍指摘.翌日頻拍消失し経過観察となったが,7 日後(38週 3 日)心拍数150bpm,110bpm,70bpmの 3 相を反復する胎児頻拍出現.胎児心エコーにてAF疑われ緊急帝王切開.(児)2,831g.心電図はHR 210bpmのnarrow QRS tachycardia.ATP静注後 3:1 伝導のAFと判明.ジゴキシン急速飽和で改善なくcardioversion施行しsinus rhythmとなった.その後ジゴキシン予防内服開始.生後 1 カ月ジゴキシン内服中止後もAFの再発を認めない.【考察】今回経験した 3 例のうち,2 例は胎児心エコーにてAFが疑われ出生後の対処を準備することができた.胎児治療を行った症例はなかった.2 例はcardioversionにて,1 例は自然にAF消失した.全例においてAFの再発は認めなかった.

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