P-II-A-11
Flecainide持続静注にて奏功した胎児水腫合併の上室性頻拍症の 1 例
北里大学医学部小児科1),北里大学医学部循環器内科2)
開田美保1),中畑弥生1),庭野慎一2),釼持 学1),野渡正彦1),大和田夏子1),堀口泰典1),石井正浩1)

Flecainide持続静注にてようやくコントロールされたtachycardia-induced cardiomyopathyによる重症胎児水腫で出生した児について報告する.【症例】体外受精で妊娠,在胎27週 3 日より胎児不整脈を指摘されていた.在胎33週 3 日の胎児エコーにて胎児水腫(全身浮腫,胸水,腹水),胎児頻脈を指摘され緊急帝王切開で出生.出生体重3,126g,Apgar score 2/3 にて気管内挿管,人工呼吸管理が開始された.胸部X線にて両肺に胸水を認め,胸腔穿刺を行った.心エコーではLVEF 27%と低下していた.生後40分頃より心拍数は210bpmとなりATP,digoxinは効果なく,flecainide 1.3mg/kg/doseの静注にて洞調律となった.しかし約 2 時間で再び200bpmを超え,disopyramide 1mg/kg/doseの静注で改善したためdisopyramide 0.2~0.4mg/kg/hの持続投与を開始し頻拍発作はなくなった.日齢12よりdisopyramideを内服に変更したところ頻拍発作が再燃した.disopyramideの内服追加では心拍のコントロールできずpropranolol静注,verapamil内服を試みるも無効にて,disopyramideの持続投与を再開した.しかしその後も頻回に心拍数の上昇を繰り返した.この頻拍発作の停止にはflecainide静注が有効であったため日齢20よりflecainide持続静注を開始し洞調律となった.以後flecainideを内服に変更し血中濃度は350ng/mlにて心拍コントロールは良好で日齢62に退院となった.現在 8 カ月でflecainide内服を継続し頻拍発作は起こしていない.【まとめ】難治性上室性頻拍の治療にflecainide持続静注が有効であった胎児水腫の 1 例を経験した.

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