P-II-A-12
重症心疾患におけるheart rate turbulence各指標の意義
芳賀赤十字病院小児科1),自治医科大学小児科2)
菊池 豊1,2),白石裕比湖2),桃井真里子2)

【目的】思春期になり生命予後不良の心疾患は,自律神経機能異常が存在する.われわれは,heart rate turbulenceに注目し,生命予後と自律神経機能異常の関係を検討してきたが,新しい指標を含めそれぞれの指標の特徴を検討した.【方法】対象は,7 名の死亡に至った重症心疾患患者(原発性肺高血圧症 1 名,Eisenmenger症候群 2 名,肺動脈低形成 2 名,心筋症 2 名).これらの対象を,(1)死亡前 2 年まで,(2)死亡前 2 年から 6 カ月,(3)死亡 6 カ月以内の 3 期に分けて,以下の検討を行った.24時間心電図を記録し,記録された全心室性期外収縮に対してheart rate turbulenceを算出した.検討項目,(1)turbulence onset(TO),(2)turbulence slope(TS).【成績】(1)2 年以前,(2)2 年から 6 カ月,(3)6 カ月以内,turbulence onset(TO),(1)2.0 ± 3.4%,(2)1.0 ± 1.2,(3)1.4 ± 2.6,turbulence slope(TS),(1)13 ± 5.5ms/RRI,(2)12 ± 6.0,(3)15 ± 3.8.【結論】(1)死亡に至った重症心疾患患者のheart rate turbulenceからみた自律神経機能を経時的に検討し,各指標の比較を行った.(2)turbulence onset(TO)において,死亡前 2 年前から 6 カ月以内にすでに,異常低値を認めた.これは,われわれが検討を行ってきた心拍変動解析で異常を検出できた 6 カ月以内と比較して,早期に異常を検出できた.(3)turbulence slope(TS)では,有意な変化は認められなかった.(4)以上から,重症心疾患の異常を早期に検出できるのはturbulence onset(TO)であることが分かった.(5)最近心不全の治療にβ遮断薬が使用されるようになっており,自律神経機能を評価する立場から,その治療の有効性,副作用を検討していきたい.

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