P-II-A-13
川崎病による冠動脈障害を持つ患者の心拍変動解析
国立循環器病センター小児科
吉田葉子,津田悦子,渡辺 健,越後茂之

【背景と目的】心拍変動解析は心筋梗塞後の予後予測や,突然死・不整脈事故発生予測に有用である.川崎病に罹患し冠動脈障害を合併した患者の心拍変動解析を行い自律神経機能について検討した.【対象】対象は川崎病による冠動脈障害を有する患者21名(男19・女 3),年齢22(6~44)歳,発症年齢2.3(0.8~10.5)歳.すべてNYHA 1 度で,心筋梗塞の既往 9 名,バイパス術後12名.【結果】(1)左室造影駆出率が40%未満の群(n = 6)と40%以上の群(n = 15)に分けて検討.24時間心電図の心拍変動解析の時間領域パラメータは各群24時間RR間隔の標準偏差(SDNN)119.3 ± 39.5/145.0 ± 38.6(p = 0.10),5 分ごとのRR間隔平均値の標準偏差(SDANN)96.8 ± 39.4/117.9 ± 33.1(p = 0.12).周波数領域パラメータでは総パワー(TF)が各群2,565 ± 1,710/4,418 ± 2,053(p = 0.07),低周波数パワー(LF)461.3 ± 217/840.8 ± 445.4(p < 0.05),高周波数パワー(HF)252.3 ± 192.5/431.1 ± 330.4(p < 0.05).(2)心室性不整脈のある群(n = 5,うち駆出率40%以下はn = 3)と,ない群(n = 16)に分けて検討.各群SDNN 125.9 ± 36.1/144.2 ± 40.5(p = 0.19),SDANN 99.6 ± 35.3/117.1 ± 35.7(p = 0.17).TF 3,293.8 ± 1,890/4,520.4 ± 2,044(p = 0.12),LF 550 ± 40.0/832.2 ± 442.7(p < 0.05),HF 232.1 ± 193.4/470.4 ± 319.3(p < 0.05).【まとめ】冠動脈障害を合併した川崎病患者では低心機能の患者,心室性不整脈の者においてLF,HFともに減少しており交感・副交感神経機能がともに低下していた.

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