P-II-B-3
TCPC術におけるfenestration造設の術後管理および短期成績について
東京大学医学部小児科1),東京大学医学部心臓外科2)
杉村洋子1),犬塚 亮1),小野 博1),戸田雅久1),渋谷和彦1),賀藤 均1),村上 新2)

【目的】現在当院では,total cavo-pulmonary connection(extracardiac conduit)術の際,全例fenestrationを設置する方向へ変更しつつある.術後管理が容易になり,入院日数やドレーン留置日数が短縮された印象があるが,現状を把握する目的で後方視的に検討を加えた.【対象】当院PICU開設後に経験した,TCPC症例.全16例(男12例,女 4 例).【方法】TCPC前の各種条件,PICU入室時の中心静脈圧,退室時の中心静脈圧,ドレーン留置日数,PICU入室期間,入院日数,退院後の経皮的動脈血酸素飽和度について比較した.【結果】fenestrationつき(以下F群)7 例,fenestrationなし(以下N群)9 例であった.F群の術前のPA indexは199,肺血管抵抗1.9U・m2,肺動脈圧12mmHg,N群はPA index 203,肺血管抵抗2.2,肺動脈圧11mmHg,と大きな差はなかった.PICU入室期間はF群12日,N群11日であり,入院期間はF群49日,N群48日であった.ドレーン留置期間はF群12日,N群21日と差が認められた.退院後の経皮的動脈血酸素飽和度はF群は80~93%,N群は87~98%であり,F群では軽いチアノーゼを認めた.【考察】fenestrationをおくことにより,ドレーン留置日数は明らかに短縮されたが,術後の経皮的酸素飽和度は低値であり,fenestrationを閉じることが可能な血行動態となったあとは,デバイスでの閉鎖がまだ現実的でないため,再手術に望まなくてはならない.fenestrationの設置は全例ではなく,十分吟味をして選択すべきと考えた.

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