P-II-B-10
@-methodによる動脈管コイル塞栓術―利点と問題点―
広島市立広島市民病院小児循環器科
鎌田政博,木口久子,中川直美

【背景】近年,太い動脈管(PDA)の塞栓には,0.052' Gianturco coil(52GC)を使用することが少なくない.しかし,52GCはしばしばPDAを拡張させ,脱落すれば回収に困難を感じることも少なくない.【目的】MRI対応でよりflexibleな着脱式コイルを,より安全に太めのPDAに留置できるか検討した.【対象・方法】第 1 コイルにはMWCE/IMWCE-PDA(以下IM-PDA)を使用,PA側からアプローチし,コイルをその先端から逆向きにPDA内に送り込み,@を描く形で留置する@-methodで塞栓術を行った11例を対象に,その有用性,問題点などにつき検討した.【結果】対象の年齢は0.5~29.4歳(中央値1.9歳),体重6.8~61kg(10.0kg)であり,PDA最小径2.0~5.2mm(3.0mm),Qp/Qs 1.1~2.9(1.9)であった.PDA形態は漏斗型 8 例,管型 3 例であった.最終的に全例で完全閉鎖を得たが,5 例では複数コイル(≦6 個)が用いられていた.IM-PDAの最大コイルループ径は 8mmであるが,最小径5.2,4.4mmと計測された 2 例にも留置可能で,コイルの追加に際しても問題はなかった.PDA最小径 < 4mmであった 9 例中 6 例では,IM-PDA 1 個で完全塞栓が得られていた.留置後のコイル形態は通常の方法に比してより複雑で,PDAに対するコイルの張力は増加,塞栓力,コイルの固定能は増大,より早期のコイル短縮(長軸方向)も期待された.塞栓上の問題:大動脈内でコイルを反転させるため,PDAレベルの大動脈径が細ければ手技が困難であった.合併症として 2 例に血尿を認め,早期にコイルを追加した.コイルの脱落はなかった.【結語】有意な遺残短絡に対しては複数のコイル留置が必要であるが,@-methodを用いれば,MRI対応のIM-PDAを大きめのPDAにも留置でき,その塞栓能も向上すると考えられた.

閉じる