P-II-B-13
乳幼児でのPTBにおけるSasugaの有用性
埼玉医科大学小児心臓科
松永 保,小林俊樹,熊倉理恵,熊谷晋一郎,岩本洋一,杉本昌也,石戸博隆,竹田津未生,先崎秀明

【背景と対象】乳幼児における抹消性肺動脈狭窄(PPS)に対する経皮的バルーン拡張術(PTB)は,しばしば患児の体格が小さかったり,目標病変への到達に複雑な経路をとらなくてはならないなど,カテーテル操作に難渋し,治療を断念せざるを得ないこともある.われわれの施設で,このような場合に014 guidewire(Ironman,ガイダント社製)とSasuga(Boston Scientific社製)を用いてPTBに成功した 3 例を経験したので報告する.【症例】(1)3 カ月,男児,SRV,central shunt,LPA patch plasty,PA ligation,PDA division,rt BT shunt術後.LPAの再狭窄に対し,PTBを施行する目的で心臓カテーテル検査施行.rt BT shuntがRSCAから約 1cmのところで急激に屈曲するために,カテーテルが通過せず,Ironmanに Sasuga 6mmをマウントし,BTシャント屈曲部を通過,lt PPSの拡張に成功した.患児はその後,同部位の形成を必要とせず,1 歳11カ月にフォンタン手術に成功した.(2)2 カ月,女児,TOF,PA,MAPCA.rt uniforcaization,rt BT shunt術後右下肺の血流低下のため徐々にSaO2が低下し,緊急心臓カテーテル検査を施行した.右下肺の血管の重度の狭窄に対し,Sasuga 6mmをIronmanにマウントし,拡張を行いながら徐々にカテーテルを前進させた.血胸を合併し,CICUにて破裂血管再建術を施行したが,46日後に低酸素で死亡した.(3)11カ月,男児,TOF,LPA from PDA,LPA plasty,lt BT shunt術後.初回手術時LPAとBTシャントを自己心膜ロールを介して吻合.自己心膜ロールとBTシャント吻合部に狭窄を起こす.カテーテルは,BTシャントを通過できず,Ironmanを先進させSasuga 6mmでBTシャント吻合部からLPAまでの狭窄部を徐々に拡張した.患児は 1 カ月後に根治手術に成功した.【結語】通常のカテーテルが通過しないような到達経路が複雑な場合でも,トラッカビリティの良好なSasugaを用いることによってPTBに成功する場合がある.

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