P-II-C-9
Cyclosprorine Aが有効であったγグロブリン不応性川崎病の 3 症例
獨協医科大学小児科
坪井龍生,平尾準一,西倉 潔,白岩妙子,萩澤 進,有阪 治,江口光興

Cyclosporine A(Cy A)を使用し効果的であったγグロブリン不応川崎病の 3 例を経験した.【症例 1】4 カ月男児.第 5,7 病日にγグロブリン(1g/kg)を投与したが改善傾向なくγグロブリン不応と判断し,プレドニゾロンを開始した.第15病日に右側冠動脈瘤を確認したためプレドニゾロンを中止,γグロブリン再投与にウリナスタチンを併用した.しかし,改善が得られないため,第26病日よりCy A(1mg/kg/day)の投与を開始したところ第29病日に解熱し,以後,再燃はなく冠動脈瘤も軽快傾向となった.【症例 2】1 歳 2 カ月女児.今回,2 度目の罹患で第 5 病日にγグロブリン(1g/kg)を投与したが,改善なくγグロブリン追加投与,ウリナスタチン併用を行った.しかし,症状の改善を認めず心エコーにて軽度冠動脈病変を認めたため,第14病日よりCy A投与を開始し,第15病日より解熱した.以後,再燃なく,冠動脈病変は改善し,冠動脈瘤の形成はなかった.【症例 3】1 歳女児.第 5 病日よりγグロブリン総量 5g/kgを行うも反応せず第12病日よりCy Aを投与開始した.しかし投与後 5 日経過しても改善なかったためCy Aを増量したところ解熱し症状軽快した.経過中冠動脈の一過性拡張を認めたが冠動脈瘤の形成はなかった.【考察】症例はいずれもγグロブリン不応の川崎病であった.その機序は不明であり,投与時期,投与量などの検討すべきことは多いが症例 1,2 ではCy A投与後速やかに解熱し,症例 3 では投与量増量後解熱を認めたことより有効血中濃度に達すれば有効であると考えた.また,Cy Aによる副作用は 3 例とも特に認められなかった.

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