P-II-D-8
胎児期に診断された心房内巨大腫瘍の 1 例
新潟大学大学院医歯学総合研究科小児科学分野1),新潟大学大学院医歯学総合研究科呼吸循環外科学分野2)
星名 哲1),朴 直樹1),長谷川聡1),内山 聖1),高橋 昌2),渡辺 弘1, 2)

【背景】胎児期に診断される心臓腫瘍は,結節性硬化症に関連する心室由来の多発性腫瘍であることが多い.今回胎児エコーにて左房内をほぼ占拠する巨大腫瘍を認めた 1 例を経験したので報告する.【症例】在胎26週時に胎児左房内の腫瘍を指摘され,在胎34週時には30 × 28mmと拡大し,左房をほぼ占拠していた.胎児エコーでは心房中隔MRI上T1 で低信号,T2 強調画像で高信号であり,粘液腫が最も疑われた.胎児仮死兆候や不整脈は認められなかったが,腫瘍の部位や大きさをから出生早期に肺静脈閉鎖や僧帽弁閉鎖を来す可能性が高いと考えられた.胎児エコーでは僧帽弁の機能,左室の容量は保たれており,腫瘍摘出により,新生児循環の確立が可能と判断した.予定帝王切開にて娩出し,出生直後に腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は心房中隔内発生しており,左房後壁内まで到達浸潤していたため完全摘出は不可能であった.可能な限り腫瘍を摘出したが,僧帽弁の低形成,僧帽弁閉鎖不全を認め,人工心肺の離脱が不可能であり,死亡した.病理組織診断では横紋筋腫であることが判明した.

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