P-II-D-14
低酸素暴露による新生仔の持続性肺高血圧のシルデナフィルによる抑制効果
東京女子医科大学循環器小児科
山村英司,稲井 慶,中澤 誠

【目的】新生仔の低酸素による持続性肺高血圧の病態を調べるため,低酸素暴露による肺血管収縮とsildenafilによるNOSの発現の変化を調べた.【方法】ICRマウスを用いた.低酸素環境は出生後すぐ窒素混合ガスによる10%の低酸素環境下で通常と同じように飼育した.シルデナフィルは低酸素環境下または通常酸素下で 1 週間たった後から朝夕 2 回,0.7mg/kgを皮下注して 1 週間継続投与した.マウスを 4 群に分け低酸素群(HO群),低酸素 + シルデナフィル群(HO + S群),通常酸素群(RA群),通常酸素 + シルデナフィル群(RA + S群)とした.以下の項目を調べた(1)右室左室重量比,(2)肺組織中のNOS-2 ならびにNOS-3 の発現.【成績】心室重量比の平均はHO群で平均0.39,HO + S群で0.33,RA群で0.32,RA + S群で0.27であった.NOS-1 ならびにNOS-2 はRA群ならびにRA + S群ではほとんど検出されなかったが,HO群に比してHO + S群がNOS-2 の発現が 1/11に,NOS-3 の発現が 1/6 に抑制されていた.【結論】低酸素により新生仔では肺血管抵抗を維持してNOS-2 ならびにNOS-3 が発現するが,シルデナフィルにより発現が抑制される.

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