P-II-E-1
心血管奇形に対する16列マルチスライスCTボリュームレンダリング(VR)像の有用性
榊原記念病院小児科
小林賢司,西山光則,畠井芳穂,朴 仁三,嘉川忠博,藁谷 理,村上保夫,森 克彦

【目的】心血管奇形43例に49回の16列マルチスライスCTを施行し,VR像の有用性について検討した.【方法】対象は2004年 1 月~2005年 1 月の期間に当院で16列マルチスライスCTを施行した 0 カ月~62歳の43例(のべ49回).疾患は肺静脈還流異常症 9 例,ファロー四徴症 7 例,肺動脈(弁)狭窄症 7 例,肺動脈閉鎖 2 例,先天性肺動脈弁欠損症 1 例,先天性肺動脈起始異常 1 例,大動脈縮窄症 8 例,大動脈弓離断症 1 例,動脈管開存症 3 例,大動脈弁下狭窄 1 例,左心低形成症候群 1 例,総動脈幹 1 例,大動脈弁狭窄・閉鎖不全 2 例,川崎病後冠動脈後遺症 3 例,右冠動脈起始異常 1 例,その他 3 例(一部重複する症例も含む),使用装置はSIEMENS社製SOMATOM sensation cardiacを用い,造影方法はヨード濃度300mg/mlの造影剤(体重kg × 2ml)を注入して注入終了後より撮影開始した.【結果】(1)大動脈弁下狭窄 1 例,先天性肺動脈起始異常 1 例に対し,修復手術前後でのVR像を検討し,術後変化を血管造影施行せず評価できた.(2)血管造影との比較のできた肺血管病変11例,大動脈病変 8 例,肺静脈病変 6 例,大動脈弁下狭窄例 1 例,冠動脈病変 2 例,下大静脈病変 1 例において,同等もしくは相関した評価が可能であった.(3)S-P shunt術後の評価において 1 例で狭窄の存在を指摘,1 例で閉塞を指摘できた.(4)血管造影では評価の難しかった混合型総肺静脈還流異常症のより鮮明な評価が可能であった.(5)血管造影での評価が難しかった,右冠動脈起始異常の評価がより鮮明にできた.【考察・結語】撮影時間が短く,末梢ルートからの造影剤注入のみで可能な16列マルチスライスCT/VR像は血管造影よりリスク・侵襲が少なく,小児心血管奇形,特に肺動静脈等血管形態の評価において症例によっては血管造影より有用であると思われた.

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