P-II-E-2
幼児期以降の先天性心疾患患者に対する 3DCTの有用性
国立成育医療センター心臓血管外科
藤崎正之,関口昭彦,高岡哲弘,戸成邦彦

【目的】新生児・乳児期において 3DCTの有用性は認められつつあるが,それ以降の時期の先天性心疾患患者に対する 3DCTの有用性はあまり検討されていない.【方法】当院において2002年 4 月~2005年 1 月末までの間に 1 歳以上の先天性心疾患患者を対象に年齢・3DCT検査施行の目的・合併症の有無・3DCT検査結果・他の検査結果(心エコー・心血管造影検査)を検討した.【結果】対象は18名・施行数のべ26回であり,年齢は 1 歳~26歳 4 カ月であった.先天性心疾患の内訳はvascular ring 1 例,CoA 2 例,DORV 1 例,PA/VSD 3 例,TOF 1 例,SV 4 例,ASD 1 例,asplenia 1 例,polysplenia 2 例,右肺動脈上行大動脈起始症術後 1 例,TGAJatene術後 1 例であり,CT検査施行の目的は肺動脈形態評価10例,シャントの開存性評価 6 例,Fontan Glenn吻合部評価 2 例,大動脈評価 3 例(術前 1 例術後 2 例),気管気管支評価 2 例,PAPVR評価 1 例,肝静脈流入部評価 1 例であった.エコー検査・3DCT検査に合併症はみられなかったが,心血管造影検査において吐気・皮下血腫を生じるものがみられた.気管気管支評価以外の評価においてエコー検査においては検出がまったくできないかあるいは評価困難な例が多くあった(特に肺動脈形態・シャント血流の有無).3DCTは心カテ検査とほぼ同様の検査結果が得られていた.【考察】3DCTは合併症なく,安全に施行することができた.学童・成人期において心エコー検査は(1)骨性胸郭・両側肺が縦隔へ広く覆い被さること,(2)これまでの手術およびGoretexなどの人工物の影響,(3)手術による解剖学的な修正により特に肺動脈形態・シャント血流の有無において評価がしばしば困難である.3DCTは幼児期以降の先天性心疾患患者においても画像の三次元構築に工夫を要すること,読影にやや慣れを要するが,エコー検査以上に有効に評価活用できる可能性があった.

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